Sweets Tin / SS Normandie / 1930s FRANCE

1932年進水時には全長300mを超え世界最大の客船だったノルマンディー号。

おそらく竣工時（1935年）に記念して作られたお菓子缶です。

このノルマンディー号のお菓子缶には第３煙突がありません。きっと何かの拍子で紛失してしまったのだろうと思います。ただこの第３煙突には面白い事実があります。20世紀初頭は客船の煙突の数でその船の「格」や「安全性」を誇示していたため、わざわざダミーの煙突を備え付けていました。このノルマンディー号は第３煙突がそれでした。ノルマンディー号はル・コルビュジェの思想を取り入れたアール・デコ様式の美しい客船でしたが、上記の理由と均整のとれた外観デザインのために第３煙突が設置されました。そんな曰くつきの第３煙突が紛失しているこのノルマンディー号のお菓子缶。まるで隠し事を丸裸にされてしまったようで、威厳とともにどこか少し恥ずげにしているようにも見えます。